わざにふれる
2022.07.28
生物採集 ~高知県土佐清水にて~
皆さんは水族館の生きものはどこからきているかご存じでしょうか?他の水族館から引っ越してきたり、生物採集専門の会社に依頼することもありますが、今回は私たちがキュレーターによる採集のお話です。
7月12日~16日の間、高知県土佐清水市に行ってました。ここには、ジンベエザメをはじめ海遊館の生きものたちの収集や研究をする施設「大阪・海遊館 海洋生物研究所以布利センター」があります。ニフレルからは直線距離でも約330km。実際に車で走ると約440㎞、最短でも6時間以上かかります。
そして今回は、同じく土佐清水市にある足摺海洋館「SATOUMI」さんとのコラボで生物採集を行うこととなりました。
足摺海洋館さんは地元に根差した展示を行っており、 実際に飼育員が展示生物を採集に行くことも多く、採集のプロフェッショナルから学べる貴重な機会です。
さて、採集を行う前には必ず確認しておくべき注意点があります。 それは、
・採集を行っていい場所かどうか
・採集をしていい生きものかどうか
この2点はとても重要で、採集場所や生物によっては禁止されていることもありますので、足摺海洋館さんと以布利センターの皆様から詳しく教えていただきました。
また、安全面では、
・手袋や磯靴を着用、岩肌でケガをしない対策
・毒やトゲのある生きものの把握
・ライフジャケットなど万が一の安全装備
・天候や潮の満ち引きの確認
などを徹底します。様々な生きものに会える魅力あふれる採集ですが、同時に危険も伴います。安全最優先!
以上を踏まえて今回は4つの方法で採集を行いました。
①漁港などの岸壁近くに集まる魚を陸から網ですくう「岸壁採集」
ハタタテダイがいますねー。
②磯場を歩き、タイドプール(潮だまり)や、岩の裏にいる生きものを採る「磯採集」
カエルウオの仲間が顔を覗かせています。
③シュノーケルなどを使用し、海に潜り、網を使い採集をおこなう「素潜り採集」
④網では採るのが難しい生きもの狙う「釣り採集」
採集方法は目標の生きものに応じて選択します。この時期の土佐清水では、黒潮の流れの乗って多種多様な生きものたちに、漁港や磯など比較的訪れやすい場所で出会うことができます。今回は少し時期が早く、狙いの生きものを見つけるのに悪戦苦闘しましたが、何とか採集を行うことができました。
なお、採集の様子は現地からインスタライブで配信しました。下記からアーカイブをご覧いただけます!
採集した生きものたち、一部は先日ニフレルの展示水槽にデビューしており、またファミリアさんとのコラボイベント「みらい百貨店」で阪急うめだ1階に7月27日から8月2日まで水槽を設置して、そちらでもご覧いただけます。
改めてになりますが、漁港や磯には危険が多くあります。しかし、その危険を理解し準備をしっかり行えば、そこは季節の訪れや、生きものの生活を身体全体で感じることができる、とても楽しく、魅力的な場所になります。
この夏、海の近くに行く機会があれば、我々の足元で息づく生きものたちを感じてみてはいかがでしょうか?