うごきにふれる
2022.01.07
動物検疫所
11月9日号のキュレーターブログ「シンガポールへの旅立ち」でご紹介したとおり、シンガポールへ出発することになったギニアエボシドリ、アカガシラエボシドリ、そしてオウギバトですが、簡単には飛行機に乗れません。搭乗前に「検疫」というものを終わらせないといけないのです。
「検疫」というのは、隔離された空間で病気などを持っていないかを決められた日数飼育管理しながら調べるというものです。今回「検疫」していただくのは、関西国際空港のとある場所にある、「動物検疫所」という所です。農林水産省が管轄する、日本の畜産業界を始めとする動物達を守るために重要な役割をする施設です。
生きものを飼育している場所では、病気を「持ち込まない、持ち出さない」が原則です。ニフレルでも「うごきにふれる」ゾーンの入口と出口に消毒液を染み込ませたマットを敷いており、お客様に踏んでもらう事で、靴の裏に付着した細菌やウィルスを除去しています。 また、ニフレルのような動物飼育施設に限らず、国と国とで動物の移動がある時も「持ち込まない、持ち出さない」が大原則となってきます。もし、海外から日本には無い病気を持ち込んで、牛や豚などの畜産業界で感染が拡大すれば大ダメージを負う事になりますし、さらに持ち込んだ病気が野生動物に広まれば日本の生態系をも破壊してしまう恐れがあります。逆もまた然りで、海外に日本の病気を持ち出してしまった場合でも同様の事が起こりえます。そんなリスクを外国との水際で防いでくれるのが、「動物検疫所」です。
今回、シンガポールへ鳥達を搬出するにあたり、シンガポール政府が求めている3週間検疫を行い病気を国外に持ち出してしまう恐れがないかどうかを調べる事になりました。なお、検査が必要なのは鳥たちだけではありません。私たちが所内に病気を持ち込まないよう、鳥達を運ぶ車内を消毒し、さらに外で着ていた服にも付着している物があるかもしれませんので、所内に鳥を搬入する時も防護服を着て行いました。
そして飼育管理する部屋に入っていくまでには、たくさんの部屋を通過しなければなりません!部屋の中には、服を脱ぐ部屋、検疫室専用の服を着る部屋と別れており、防疫が徹底されています。シャワールームもあるので、検疫する動物種によっては、飼育管理作業の前後にシャワーを浴びる事もあるそうです。防犯と防疫の観点から、中の様子を写真で紹介する事が難しいのですが、動物検疫所のご協力で写真を提供していただきました。 私たちも普段から生きものたちの健康管理や館内の消毒作業などを行っていますが、病気が持ち込まれない、持ち出されないように水際で検査して頂いている動物検疫所は、日本の動物達を守ってくれているんだなと施設を見て改めて感じました。
そして約3週間後、検疫が問題なく終了して日本を旅立ち、シンガポール動物園へ到着したとのご連絡をいただきました。これで一安心です。