あなたも愉快な生きものだ!展 tupera tupera × minna × NIFREL presents
2024年3月6日(水)〜2025年1月13日(月・祝)
営業時間 10:00〜18:00 ※最終入館17:00
◎季節により営業時間が変更になる場合がございます。詳しくはHPをご覧ください。
「見る」から「見られる」へ!? 子どもも大人も楽しめる「じぶんにふれる」体験型の企画展
大人気絵本作家 tupera tupera(ツペラ ツペラ)と今注目のデザインチーム minna (ミンナ)、
生きているミュージアム「NIFREL」の初コラボレーションによる体験型の企画展です。
「生きものと人との共通点」をテーマに、tupera tupera による新作大型作品や、ワークショップ、カードコーナーを通し、
生きものの個性に気付きながら、自分自身の個性も振り返る「じぶんにふれる」特別な体験をすることができます。
クリエイティブチーム
企画・作品制作
tupera tupera(ツペラ ツペラ)
亀山 達矢 中川 敦子
亀山達矢と中川敦子によるユニット。絵本やイラストレーションをはじめ、TVや舞台、空間のアートディレクションなど、様々な分野で幅広く活動している。著書に「かおノート」(コクヨ)「やさいさん」(Gakken)「いろいろバス」(大日本図書)「うんこしりとり」(白泉社)など多数。海外でも多くの国で翻訳出版されている。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。絵本「しろくまのパンツ」(ブロンズ新社)で第18回日本絵本賞読者賞、Prix Du Livre Jeunesse Marseille 2014グランプリ、「パンダ銭湯」(絵本館)で第3回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリ、「わくせいキャベジ動物図鑑」(アリス館)で第23回日本絵本賞大賞を受賞。また、2019年に第1回やなせたかし文化賞大賞を受賞。武蔵野美術大学油絵学科グラフィックアーツ専攻 客員教授、大阪樟蔭女子大学 客員教授、京都芸術大学こども芸術学科 客員教授。
共通点を感じる生きもの
- 亀山:コツメカワウソ
- 泳ぎが得意で、手先が器用。家族仲が良く子煩悩。ちょっと気性が荒いところも似ています。
- 中川:カピバラ
- 大柄で、性格はわりと温和なほう。野菜が好きで、泳ぐのもまあまあ得意です。
企画・デザイン
minna(ミンナ)
長谷川 哲士 角田 真祐子
2009年、角田真祐子と長谷川哲士によって設立されたデザインチーム。仕事とプライベートが合致したワークライフスタイル「公私混合」をスタンスとし、ハッピーなデザインを通して、デザインをみんなの力にすることを目指している。グラフィックやプロダクト、空間などのジャンルを横断して体験をデザインすることを得意とする。代表的な仕事に「MUSABI OPEN CAMPUS2016〜2020」アートディレクション・デザイン (cl:武蔵野美術大学)、「tupera tuperaのかおてん.」会場構成・グラフィック (cl:PLAY! MUSEUM)、「みらい百貨店」ロゴ、会場構成 (cl:familiar)。グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、日本パッケージデザイン大賞金賞、SDA賞優秀賞、TOPAWARDS ASIAなど受賞。武蔵野美術大学非常勤講師。
共通点を感じる生きもの
- 長谷川:フリソデエビ
- 派手好き。キャプションの「つれあいは生涯一人、一途です」という“生きもの575”にも共感しました。
- 角田:パルマワラビー
- 常に子連れスタイルなのが一緒。子どもたちの寝姿もそっくりで親近感わいちゃいます。
- 広告撮影阿部 高之
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メディアでの撮影の傍ら、手仕事に魅せられ職人の撮影を行う。
2014年より『僕たちの写真館』と題した出張写真館を開催。
飾らない、何気ない表情を子供から大人まで撮影していきたいと思っています。共通点を感じる生きもの
- ミニカバ
- サウナも好きだけどやっぱりお風呂。湯船で寝ちゃうことこともあるかも!?
- 会場音楽森 優太
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作編曲家。映画・舞台・ドラマの劇伴音楽、CM音楽、イベントBGMを制作。主な担当作品は、NHK連続テレビ小説『虎に翼』、NHKドラマ 「あなたのブツが、ここに」、映画「くれなずめ」、CM音楽家としては、資生堂、NTT docomo、はごろもフーズなど多数担当。
共通点を感じる生きもの
- カクレクマノミ
- 大体家にいるので“ほぼイソギンチャクから離れない”というインドア感に、すごく共感します!
- アニメーション制作Let’s go inc. 清水 貴栄
山野辺 妙 -
レッツゴー株式会社はデザインを軸に、映像作品から人形劇まで、前向きなものづくりをする会社です。
共通点を感じる生きもの
- 清水:クロウミウマ
- 泳げないところと、皮膚が乾燥してそうなところが似ています。
- 山野辺:プテラポゴンカウデルニィ
- よくシマシマの服を着ています。
- アニメーション音楽株式会社くまのと 熊野 森人
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清水貴栄とのユニット[まみちゃん]音楽担当。1978年生まれ。大阪府出身。大阪市立工芸高等学校映像デザイン科卒。IAMAS(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)特別研究課程修了。コミュニケーションディレクター、クリエイティブディレクターなど肩書きはさまざま。音楽をつくる以外には、企業のコンサルティングや、デザイン、大学の先生をしています。京都精華大学非常勤講師、京都芸術大学非常勤講師、湘北短期大学特別講師。
共通点を感じる生きもの
- アルダブラゾウガメ
- 大柄で、動きが遅く、どちらかというと草食だから。
プログラム紹介
1わたしは愉快な生きものだ!ワークショップ
tupera tupera が描き下ろした多彩な“生きものパーツ”を組み合わせて愉快な生きものになるワークショップを、会期を通して開催します。
完成後は自分らしい愉快な生きものになって、館内を巡りながら写真撮影をお楽しみいただけます。
来館者だけではなく、ニフレルの生きものからも注目を集めることでしょう。生きものをより身近に感じられる体験をお楽しみください。
ワークショップ参加者は、特別に設置されたフォトスポットでの記念撮影もお楽しみいただけます。
- 会場・受付
- ニフレル2F「ニフレルメイクス」
- 参加費
- 1,000円/1人 1,800円/ペア
2大型壁面作品「にてる?にてる!」
メインエリア「わざにふれる」では、思わずクスッとしてしまう、生きものと人の共通点を表現した、「にてる?にてる!」が描かれた大型作品10点を展示します。意外に自分やあの人にそっくりな作品に出会えるかもしれません。
3生きものとあなたの共通点がわかる
「あなたはどんな生きものだ?カード」
メインエリア「わざにふれる」では、生きものとあなたの共通点がわかる「あなたはどんな生きものだ?カード」が30種類ずらりと並びます。自分らしい特徴のカードを選ぶと、裏面には同じ特徴をもつ生きものが描かれています。実際にその生きものを間近で観察して特徴を知ることで理解が深まり、共感が芽生えるかもしれません。
「あなたはどんな生きものだ?カード」は、 お一人4枚までお持ち帰り頂けます。
4企画展オリジナルカフェメニュー
室内にいながらも外にいるような感覚でピクニック気分が楽しめる、
ニフレルのカフェ「EAT EAT EAT」では「あなたも愉快な生きものだ!展」とコラボレーションしたフードメニューが期間限定で登場します。
- 販売期間
- 2024年3月6日(水)~2025年1月13日(月・祝)
5tupera tupera の作品を身近に楽しめる!
愉快な企画展オリジナルグッズ
ミュージアムショップ「NIFREL×NIFREL」では、本企画展オリジナルのTシャツやクリアファイル、マスキングテープなど、tupera tuperaの作品を身近に楽しめる、“愉快な”グッズを販売します。ニフレルの思い出、家族や友達へのプレゼント、自分へのご褒美に。
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Part.1
制作の日々を振り返る
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Part.2
開幕初日を迎えて
生きているミュージアム「NIFREL(ニフレル)」で、生きものと人のつながりをテーマにした展覧会「あなたも愉快な生きものだ!展」。本展が形になるまでどんな苦労があり、どんな気持ちを込めたのか。絵本を通じて活動するクリエイティブユニット「tupera tupera(ツペラツペラ)」とアートディレクター「minna(ミンナ)」、ニフレルの小畑洋館長が制作の日々を振り返ります。
(取材・文/森田浩明)
- 本展のテーマと成り立ちについてお聞かせください。
- ニフレル 小畑館長
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自然界の生きものたちは、さまざまな姿かたちと生態を持っています。ただ、人間だって実は同じように個性豊か。観察から一歩踏み込んで、自然の生きものたちと自分との共通点を見つけてみてほしい。それが本展のテーマです。
生きものたちと同じステージに立って向き合ってみると、共感できたり、異質さも「ユニークだ」と受け入れられたり。そんな風に存分に多様性を楽しんでもらえる場を目指しました。今回のようにお客さんが主体になって参加する展示方法は、実は当館では初の試みになります。
これまでの特別展示は、コラボレーションしたアーティストの色を全面に出し、結果として常設展示とは独立した形になるのが通例でした。ですが「自由にやってほしい」という漠然とした依頼に対し、ツペラツペラのおふたりは、ニフレルの生きものと作品とが相互に干渉する展覧会が面白いのではと提案してくださった。
- tupera tupera 中川
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亀山と、2人の子どもたちと一緒にニフレルを訪れ、小畑館長に生物の特性や性格など解説をしてもらいながら館内を巡ったのが一昨年の冬でした。
もともと動物園や水族館に行くのは好きでしたが、館長の生き生きとしたユーモラスな話を聞きながら回ると面白さが格別で。私たちの作品をただ並べて展示するだけではもったいないと思ったんです。
それで、美術館ではなくニフレルという特別な場所だからこそできるような企画にしませんか?とご相談しました。生きものたちを「かわいいなあ、面白いなあ」とぼんやり眺める時間もいいのですが、私たちの作品を通すことで、もう少しいつもとは違う切り口で関わることができたらと。
それから亀山が、生きものと人が融合したようなイラストをホワイトボードに描いたのを皮切りに、本格的に企画が始まって。依頼する側、請け負う側で分け隔てず、ワンチームとなって、ああでもない、こうでもないと意見を出し合ってコンセプトから練っていきました。最初はアイデアの種が散漫で、うまくまとまらないのではと不安もありましたが、ミンナのおふたりが間に入ってくれて、どんどん明確な形になっていきました。
- minna 角田
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企画の核をより堅固にするため、濃密なコミュニケーションを重ねましたよね。だからこそ、各自に分かれて作業に入ったときにブレがなく、進行状況の報告でも「そうだよね。ここわかるし面白い」「だったらこっちもこうしよう」と、どんどん掛け算になっていった。最初の紆余曲折(うよきょくせつ)があればこそ、追い込みの段階で気持ちよく走ることができたと実感しています。
魚のうろこやトラの模様…リアルな写真を使う難しさ
- 性格診断しながら生きものたちのパーツを掛け合わせて、自分だけのお面をつくっていくアイデアがユニークです。
- minna 長谷川
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「自然の生きものは見かけが多彩だけど、人という種は皆同じように見える。中身はずいぶん違うのに」という小畑館長の言葉が創作のヒントになりました。確かに人は同じ場所に目鼻があり、同じ箇所から毛が生えている。それなら、人の内面の個性を顕在化するようなお面をつくるワークショップを開いたら面白いのではないかと考えました。
- tupera tupera 中川
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新しいものを作るときは、ツペラツペラの既存のイメージを超えるための挑戦をしたいと日頃から心がけています。今回の試みとしては、お面のパーツに魚のうろこやトラの模様など、生きものの写真をほぼそのまま使いました。でも、リアルなテクスチャーを使った方が面白い場合とそれを絵で誇張して表現したほうが面白いところと両方あるので、バランスの塩梅にはかなり苦労しましたね。
- minna 長谷川
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僕らミンナとしても、これほどのリアルな素材を扱うのは大丈夫なのかと期待半分、不安半分でした。場合によってはグロテスクになりかねない。
- minna 角田
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でもアウトプットされたそれぞれのパーツは、どれもツペラツペラさんの世界観をきちんとまとっていました。写真なのかゼロから描き上げるのか選択の仕方も絶妙で、とても素晴らしかった。
- tupera tupera 亀山
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顔をテーマにした企画展「かおてん.」で、石などの素材を使った作品づくりをした経験もあり、僕自身はそうした素材をそのまま使うことにそこまで怖さはありませんでした。自然界にあるものだけでも組み合わせ次第でちゃんと僕らの作品にできる自信はありましたし、ニフレルの中にいる生き物とそこに来るお客さんをミックスさせるような世界観を作りたかったので、リアルなパーツの方がいいという思いもあった。
ただ、完全に不安を払拭(ふっしょく)できたのは、ミンナのおふたりが提案してくれた宣伝用写真の存在が大きかったですね。老若男女がお面をかぶって各々楽しそうにポーズをとっている姿を見て、方向は間違っていなかったと確信できました。
- minna 角田
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最初はかぶっている人の顔を出すかどうかも議論になりましたよね。目がだぶっているのは本来、生物としておかしいじゃないかと。でも撮影に立ち会ったとき、お面をつけたモデルさんたちのそれぞれの内面が顔に出てきた。これは予想外の発見でした。その人のパーソナリティーの表現をお面が拡張してくれたというか。
- ニフレル 小畑館長
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家族や学生3人組、おじいさんや子どもたちそれぞれのお面をかぶったときのテンションの違いも興味深かったです。なるほど、こんな風に思い思いに楽しんでもらえばいいんだと。
共通項が見つかると、ちょっとうれしい
- 館内の壁面には、生きものと人の共通軸をテーマにした大型作品が展示されます。
- minna 長谷川
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「イリエワニはわりと古風なタイプ」「ワオキツネザルは新しいもの好き」──。この生きものは人間だったらこんなタイプだと、小畑館長がリスト化してくださった資料があればこその企画です。
- tupera tupera 中川
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そうですね。私たちの役割は、来た人にもそのリストの面白さが伝わるようにビジュアル化する役という感じでした。2人で手を動かして考えてみると、こんな人いるいる!と盛り上がって。同じ哺乳類の生き物に親近感をもつことがありますが、一見何を考えているのかわからないような魚類や爬虫類も、その生態を知ると私たちに似てるところがあるというのは、発見でしたね。
- ニフレル 小畑館長
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「周囲の環境に合わせて体色を変えて擬態するヒラメは、主張を抑え、周りに合わせる自分みたいだ」。そんな風に魚との共通項が見つかると、ちょっとうれしいじゃないですか。距離がグッと近づき、興味が出てくる。かくいう私も自分が生まれ変わるなら独自の進化を遂げたカエルアンコウかな、と考えることがあります(笑)。
- tupera tupera 亀山
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これは、絵本の世界でもたびたびある話です。苦手だったはずの絵が、物語への共感とともにいつの間にか好きになる。僕もコツメカワウソにまるで興味はありませんでしたが、館長のリストを読んで自分との共通点を認めてからは、どうにも気になって仕方がない。家族仲が良くて、泳ぎが得意で、手先が器用で、子煩悩。ちょっと気性が荒いところも似ています。
- tupera tupera 中川
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私はカピパラかな。大柄で野菜が好きだし、性格は温和。泳ぐのもまあまあ得意です。
- minna 長谷川
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僕は派手な格好が好きですし、ニフレルの種名板 “生きもの五七五”に書いてある「つれあいは生涯一人、一途です」のフリソデエビに似ているかなと(笑)。
- minna 角田
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私は、お腹の袋で子育てをするメスのパルマワラビーかな。まさに私もここ何年も絶賛子育て中で、ずっと子どもとくっついて仕事や家事をしているので親近感がすごくわきます。ワラビーの親子がゴロンゴロンと並んで寝ている姿も我が家の朝の光景とそっくりです。
生きものだって愉快、あなただって愉快
- 本展覧会をどのように楽しんでほしいですか。
- tupera tupera 中川
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ミュージアムなどを訪れると「せっかく来たんだから、時間をかけてちゃんと見ようよ!」と、ついつい私も我が子に声を掛けがちです。でもこの展覧会では、自然と生きものに興味をひかれる仕掛けがたくさんあるので、「お勉強しましょう」という押し付けではなく、楽しんでるうちに知識も身についていたという風になるとうれしいですね。
- minna 角田
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そうですね。入り口は、ツペラツペラさんの世界に魅了されて「わあ、かわいい、大きい、なんだろう」でいいと思うんです。ですがよくよく見ると、その生きものの性格や特徴をすごく真面目にとらえている根底がある。似ているから気になる、あるいは違うから面白い。そういう考え方や受け止め方を、生きものを通して知ってもらえたらと思います。
- ニフレル 小畑館長
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たとえば、生態についての100の大事な知識を水槽の前に書いても、おそらくほとんどの人が読まずに通り過ぎてしまうでしょう。それよりは肩ひじを張らずにこのユニークな空間を満喫して、一つでもいいから気になる生きものとの接点を持って帰ってもらえるとうれしいです。
- minna 長谷川
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「あなたも愉快な生きものだ!展」という展覧会タイトルにも、難しく考えずに楽しんでほしいという皆さんの思いが込められていると思います。最初の案は「自分にふれる展」でしたが「かみ砕くと、あなたも愉快な生きものだ、ってことだよね」という亀山さんの進言が、とても腑(ふ)に落ちました。
- tupera tupera 亀山
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人間も所属するグループによって、自然と服装や髪型などが似通ってきます。環境や営みによって変わる人の姿と生きものたちの多様さは、近しいところもあると思うんです。
生きものたちも愉快だし、それを見ているあなただって愉快。見るもの、出会うもの、出会う人、みんなそれぞれ面白い。不思議な生きものに扮して館内を巡って、いろいろな発見があるといいですよね。一緒に来た人同士も見ず知らずの他人同士も、まずは理屈抜きに一緒になって盛り上がってほしいです!
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Part.1
制作の日々を振り返る
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Part.2
開幕初日を迎えて
- 「あなたも愉快な生きものだ!展」がいよいよ開幕しました。初日を迎えてみて、いかがですか?
- tupera tupera 中川
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長い間、話し合いを重ねて企画を進め、いよいよ現場に入ったのがここ1週間ほど前から。それぞれ考えてきたアイデアが実際に形になっていくのを見ているうちに、自分たちの気持ちもどんどん高まっていきました。
- tupera tupera 亀山
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昨夜の最終設営は、夜中までみんなで頑張ったよね。設営チームの皆さんも含め、いろんな方々の愉快な力が結集して、出来上がったという感じです。
- minna 角田
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ほんと、そうですね。大変なことも、愉快なチームだからこそ乗り切れた。
- ニフレル 小畑館長
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名言ですね。
- 大型の壁面作品「にてる?にてる!」が圧巻でした。生きものと人の共通点を、どのように作品に落とし込んでいったのでしょうか。
- tupera tupera 中川
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私たちツペラツペラはいつもアイデア出しをするときには、テーマに合わせてお互いに思いついたキーワードなどをポンポン出し合って広げていきます。お笑いコンビのネタ出しみたいな感じかな。
- tupera tupera 亀山
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今回の場合なら、大阪で開催するんだからミニカバに大阪風のおばちゃんを合わせてみようとか、ジャンプが得意な(魚類の)ヨダレカケは小畑館長が好きだから入れたいねとか。そういえば、実家の横に住んでいた子が縄跳び日本全国大会の上位だったよな、だったらヨダレカケと子どもを一緒に縄跳びをさせてみようとか。
- tupera tupera 中川
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それぞれの生きものたちの主な特徴を何個か書き出して、その特徴に合う人物像をイメージしていき、 いるいる!こういう人いるよね〜と、どんどん盛り上がっていきました。
- tupera tupera 亀山
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2人いるといいんですよね。アイデアのキャッチボールができる。
- tupera tupera 中川
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今回気をつけたのは、見た目を似せればいいわけじゃないということです。ゴリラ顔だからゴリラに似ている、というのではなく、もっと別のつながりがなくてはいけない。でも理屈じゃなくて、ぱっと見でも「似ているね」と思えるのも大事で。このあたりの塩梅がなかなか大変でした。
- ニフレル 小畑館長
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新しいもの好きという共通点から、ワオキツネザルと「原宿ガール」を対比させるのは驚きました。「合うんや、ここ」って。これまでは考えてもみなかった。
- ミンナのおふたりにとって、印象に残ったお仕事は?
- minna 長谷川
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展示の最後に出てくる「巨大水槽」ですね。ここは愉快な生きものに扮したお客さんが中に入り「見られる側」の体験や写真撮影ができる場所なのですが、もともと暗めに設定された空間においての、アクリル板の扱いがものすごく難しくて。アクリル板って外から光をあてると、向こう側が全然見えなくなってしまう角度が出てくるんです。
実寸でつくったあと「やっぱりうまく写真が撮れないね」じゃあシャレになりませんから。事前に小畑館長に小型のアクリル板を持って立ってもらい、そこに光を当ててうまくいくかどうかなど、検証を重ねました。
- minna 角田
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アクリル板を入れたのは最後の最後。とても緊張しました。でも完成した水槽の中に実際に入ってみると、想定以上の効果もあった。中からでは、反射で外の様子が把握しにくいし、音もそんなに聞こえないから、外に人だかりができても全然恥ずかしくないんです。水槽の中の生きものたちも、きっとこういう気分なのかなって。外はざわざわしていても、のんびりできたり楽しんでいられたりする。
ほら、魚って外で何か動きがあると、えさをくれるのかなってアピールしてくるときがあるじゃないですか。水槽に入っているときに、外にいる人たちをつい構ってしまったり、ポーズを取ったりしちゃうのは、それに近いのかなと。「見られる側の心地よさや楽しさ」もぜひ体験してもらいたいです。
- minna 長谷川
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はっきりいって、アクリル板なしでもフォトスポットとしては十分成り立つので、コスト面や施工リスク面からしても、入れないことも考えましたが、ここは亀山さんがめっちゃこだわったんですよね。「今回の肝は水槽でしょ」って。そのブレない思いがあってこそ実現できたと思っていて、本当にこだわって正解だった。
- tupera tupera 亀山
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実際に形にする際、そういう細かい部分への工夫とこだわりで、仕上がりが違ってくるので。とはいえ、言うだけは簡単ですよね、本当。頼まれた方はどれだけの苦労でアクリル板をつなぎ合わせて、ネジを切るのかっていう。
- minna 角田
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でもあの板がなかったら「体験したふう」でおしまいでしたよ、きっと。SNSにアップするのだけが目的ならなくてもいいかもしれないけど、やっぱりニフレルは、今回の展覧会は、そうじゃない。本気と愛情があるわけです。水槽の中と外との「境目」があるかどうかは、とても大事なポイントだったなって思います。
- tupera tupera 亀山
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外にいる方もあんまりジロジロのぞけないじゃないですか、気を使うから。でも中の人はそんなに外が見えないものだからぼーっとしている。結果として、人が「愉快な生きもの」になっているところを、しっかり観察できる仕掛けになっている。
- minna 長谷川
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お面をかぶっているだけなのに、外から手を振ってもらえますもんね。よくよく考えたらこっちは全然知らないおじさんなのに(笑)。アクリル板を設けることで、そういう関係性が築けた。
- tupera tupera 亀山
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お面といえば、僕が最初に「やりたい」って提案したとき、長谷川さんに「亀山さん、それ本当にやりたいと思ってますか!?」って詰められて。泣きそうになりましたよ。
- minna 長谷川
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そんな意地悪な言い方してないですよ(笑)。あれは亀山さんが「まだちょっと迷いがある」っていうから。そんな様子は初めて見たので。チームだからこその遠慮ない一言です(笑)。パワー出し切っていただきたいなと思って、聞いたんですよ。
- minna 角田
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それにしても今回の企画展って、いろいろなものをつくりましたよね。大型作品も、カードも。でも、リアルな写真素材や、ツペラツペラさん従来の絵本のテイストに近い素材とか、それぞれモノとしてのテンションがだいぶ異なる。そこにニフレルの魅力的な生きものたちも加わって……。「まとめる要素多っ!」って(笑)。それら全てを連動させて、お客さんが気持ちよく体感できるための仕掛けを、すごく意識してデザインしました。
一見ごちゃっとしていながら、意外とまとまっているのが、結果として「愉快さ」につながっているみたいで。初日の今日を迎えて、お客さんが楽しく遊んでいる姿を見られて「ああよかった」という気持ちでいっぱいです。ここから1年かけて、さらに育っていきそうな企画展だと思います。
- tupera tupera 中川
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自分の作品を発表するような展覧会なら「見る人が自由に感じてくれればいい、どう捉えるかはその人次第」という場合もあるけど、今回は私たちが面白いと思ったことをきちんと伝え、道筋に沿って体験してもらいたいという気持ちが強いので。
ニフレルという施設には生きものの持つ強さがすでにあるわけだから、そのなかでちゃんと立ち止まって、見てもらったり「どういうことなんだろう」と考えてもらったりするには、やっぱりわかりやすさをクリアにしなくてはいけない。そのために、デザインや言葉選びにはとても気を使いました。
- 館内の方々では生きものたちの生態が、ツペラツペラさんのユニークな言葉でつづられています。
- ニフレル 小畑館長
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そうですね。ツペラツペラさんの言葉選びには、とても感銘を受けました。館の運営に携わる僕らのような立場が生きものについて説明しようとすると、正しい情報を伝えようとついつい図鑑の解説のようになってしまいがちです。でも、言葉のニュアンスや使い方次第で、途端に生きものたちとの距離が縮まったりするんだなと。
- tupera tupera 中川
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絵本をつくるときにも、やはりパッと伝わる強さが大切です。ニュアンスにしても語尾にしても、少し違うだけで印象がずいぶん変わりますから。今回は、短いテキストの中で、大人にも子どもにも親しみを感じてもらえるように考えました。
- tupera tupera 亀山
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まあ長い文章は苦手というのもあるんですが、一方で短く書いて「そうだよね」と心から納得してもらうのもなかなか難しい。
- minna 角田
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確かに正しいだけじゃ、伝わらないこともありますよね。ツペラツペラさんといえば、キャッチーでパワーのある絵に目が行きがちですが、言葉のセンスも素晴らしい。すでにニフレルさんにある「正しい知識」をツペラツペラさんのフィルターに通すことで、たくさんの人たちが目を止めてくれ、伝わるものになったと思います。
- スタートまで漕ぎ着け、いまの気持ちとしては感無量という感じでしょうか。
- minna 長谷川
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感無量です!
- minna 角田
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ここ1週間くらい、ニフレルに住んでいたようなものだからね。通常開館しながらだったので夜間設営が主で、美術館などとはまた違う大変さがあるんだと勉強させてもらいました。おかげで夜の真っ暗ななかで、ワニが気持ちよさそうにフワーッとくつろいでいる姿を見て神秘的な感じに涙が出そうになったり、カバが水中をゆっくり歩く様子に一瞬、時が止まったような感覚を覚えたりと、普段ではできないごほうびのような体験もさせてもらいました。
- minna 長谷川
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僕は、夜間の設営時に小畑館長と一緒に館内を回っていて、そのとき小畑さんが生きものたちをびっくりさせないように「ごめんなー」って、そっとドアを開けていたのが印象的でした。そうか、ニフレルで展覧会を行うというのは、そういうことなんだなって。生きものたちに対する小畑さんの優しい眼差しが、まさに「同じ目線に立つ」という、本展のテーマそのものだなと感じた瞬間でした。
- ニフレル 小畑館長
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会社だと「生きもの『には』優しい」ってよく言われますけどね。でもね、ツペラツペラさんやミンナさんたちに比べると、やっぱり僕は、あんまり人のことを見ていないと実感しました。魚とかは、よく見てる方だと思うんですけど。
- minna 角田
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いや、小畑さんは生きものにも人にも、みんなに優しいですよ。ツペラツペラのおふたりも人が好きですよね。そうでなければ、あの作品たちは生まれない。
- tupera tupera 亀山
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僕の場合、たとえば電車に乗ってるとき、偶然前のシートに並んで座った人たちで、バンドを結成して妄想ごっこを楽しんでる。あのゴツい人ドラムっぽい、あのかっこいい彼がボーカルだなとか。だから単に人が好きかと言われるとそうではなく、人を面白がってるんです。
- ニフレル 小畑館長
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なるほど。別に生きものを猫可愛がりをしたいわけじゃない、もう少し離れた感じというか。僕は人を表現する方法は、やっぱり難しくてわからない。そこを皆さんが担当してくださり、生きもの側は僕がデータを出して、力を合わせて本展が形になっていった。それがすごく面白かった。僕一人だったら、絶対こんな企画展はできなかっただろうから。
- tupera tupera 亀山
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なんというか、この企画展は楽しい発見がいろいろあって、ただ「かわいい」だけじゃないのがいい。親子連れで、カップルで来て「キャーかわいい」でもね、もちろんいいんですけど、それだけじゃないやんって。見方次第で物事の捉え方って全然変わるし、変わればまた面白い。
- ニフレル 小畑館長
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今度、僕も電車でバンド組んでみようかな。
- tupera tupera 亀山
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あのですね、バンドはそう簡単にはできないです。でも、まれに世界的なバンドができる。1年に1回くらい。本当、まれにしかできないですから(笑)。